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大森 惇志*; 秋山 英二*; 阿部 博志*; 端 邦樹; 佐藤 智徳; 加治 芳行; 井上 博之*; 田口 光正*; 清藤 一*; 多田 英司*; et al.
材料と環境, 69(4), p.107 - 111, 2020/04
ガンマ線照射による水のラジオリシスで生成する酸化剤が炭素鋼の気相中の腐食に及ぼす効果を評価するために、オゾンをモデル酸化剤として用いて50Cの湿度制御下に導入し、ACMセンサを用いた腐食モニタリングを行った。ACM電流はオゾンの濃度に伴って高くなったことから、オゾンによる腐食促進の効果が示された。これはオゾンの還元反応あるいは水への溶解反応が早く、カソード反応を促進したためと考えられる。
大谷 恭平; 塚田 隆; 上野 文義; 加藤 千明
no journal, ,
既報では福島第一原子力発電所の格納容器内部を模擬した大気と液中に交互に曝露する気液交番環境で炭素鋼の腐食試験を行い、交番曝露により鋼の腐食速度が加速することを報告した。本発表では、気液交番環境における鋼の腐食挙動におよぼす人工海水濃度の影響について調査した。腐食速度の測定より、気液交番環境における炭素鋼の腐食速度は希釈倍率200倍のときに最大となることを見出した。更に、腐食後の鋼に形成した鉄さび層の断面分析より、人工海水中の金属カチオンの析出により炭素鋼の腐食速度が低下することを明らかにした。
端 邦樹; 佐藤 智徳; 加治 芳行; 井上 博之*; 田口 光正*; 清藤 一*; 多田 英司*; 阿部 博志*; 秋山 英二*; 鈴木 俊一*
no journal, ,
福島第一原子力発電所の廃炉作業を安全かつ効率的に進めるにあたり、原子炉構造材料の腐食量を適切に把握することは重要である。本研究では、炉内滞留水中の不純物及び放射線が格納容器等の構造材料の腐食に与える影響を予測するためのツールとして、ラジオリシスデータセットの整備を進めている。照射下での化学的挙動の既往知見が少ないFeイオンを対象とし、ラジオリシス実験及びシミュレーションによりデータセットの検証を行ったところ、過酸化水素の生成量のシミュレーション結果が実験結果より小さく見積もられることが分かった。個々の化学反応のシミュレーション結果への寄与について調べたところ、鉄イオン(Fe)と過酸化水素(HO)の反応等の複数の反応について、速度定数の変化がシミュレーション結果に大きく影響を与えることが示された。これらの化学反応の速度定数を適切に評価することの重要性が示唆された。
石島 暖大; 上野 文義; 阿部 仁
no journal, ,
使用済核燃料再処理施設では、異種金属の機器を接続するためステンレス/タンタル(Ta)/ジルコニウム(Zr)の異材接合継ぎ手が使われている。これらの材料の内、TaはNaOH水溶液中において腐食することが報告されているが、一方でTaのその様な環境における腐食挙動の温度依存性を検討した例は少ない。そこで本研究では、種々の濃度のNaOH水溶液中にて浸漬腐食試験および電気化学測定を実施し、腐食挙動の温度による変化を検討した。その結果、1mol/L溶液では80Cで皮膜は生成し腐食が抑制されること、3mol/L以上の濃度では温度とともに腐食が加速されることが明らかになった。また、80C、1mol/LのNaOH溶液中では他の条件と異なり洗浄によって除去されない緻密なタンタル酸ナトリウム皮膜がTa表面に生成していることが示されたことから、この緻密な皮膜の生成がTaの腐食を抑制したと考えられる。
加治 芳行; 佐藤 智徳; 端 邦樹; 井上 博之*; 田口 光正*; 清藤 一*; 多田 英司*; 阿部 博志*; 秋山 英二*; 鈴木 俊一*
no journal, ,
本研究は、福島第一原子力発電所廃炉で必要となるラジオリシスデータと構造材料の腐食データを大学等と連携して取得することを目的として行った。本発表では、平成30年度の成果の全体概要を報告する。
加藤 千明; 佐藤 智徳; 山岸 功; 有阪 真; 寺田 敦彦
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故の汚染水処理に用いた使用済み吸着塔の局部腐食発生条件に関する基礎的検討として、ガンマ線照射下における人工海水を含んだゼオライト中のステンレス鋼(SUS316L)の電気化学試験ならびに第二Cs吸着塔(SARRY)モックアップを用いた乾燥試験を実施し、塔内のCl濃度の変化について報告すると共に、使用済みCs吸着塔における局部腐食発生の可能性を検討した。ステンレス鋼の定常自然浸漬電位はガンマ線照射により貴化し、吸収線量率の増加に従いその電位が上昇した。一方、ゼオライト共存系ではガンマ線照射下の電位上昇が抑制された。ガンマ線照射下におけるステンレス鋼の電位上昇機構は放射線により生じるHOがステンレス鋼のカソード反応を活性化するためであり、ゼオライトはHOの生成を抑制するために電位が低下する事を明らかにした。また、モックアップ試験体の乾燥試験からゼオライト層の温度上昇に伴い乾燥ゼオライト層による残水の吸い上げにより残水中の塩分が発熱部で析出し、蒸発水が容器内面で凝縮することで再び残水へ再循環するため残水のCl濃度が低下することを確認した。モックアップ試験体で確認された吸着塔内の発熱による残水のCl濃度低下挙動は、実機Cs吸着塔における局部腐食発生リスクの緩和策として期待された。
相馬 康孝; 小松 篤史; 加藤 千明
no journal, ,
高温水中におけるステンレス鋼すき間内溶液導電率Kを知ることは、すき間腐食の発生メカニズムや応力腐食割れの先端部における溶解挙動を知る上で重要である。本研究では、温度288C、圧力8MPaにおいて溶存酸素濃度を変化させた場合のKの応答挙動に及ぼす、バルク水中の微量塩化物イオン、およびステンレス鋼材中に含まれる不純物(CaS介在物の有無, リン, 硫黄含有量)の影響を調べた。CaS介在物を硝酸で除去した酸洗材、および鋼中リン, 硫黄濃度を低減したSUS316EHP鋼ですき間を形成してKを測定し、一般的なSUS316Lステンレス鋼(標準材)のそれと挙動を比較したところ、これらには顕著な差がないことが分かった。このことから、鋼材から溶出する不純物としてのリン, 硫黄はKの変化に大きな寄与を与えないことが分かった。バルク水に50ppbのClを添加した環境で標準材のKの変化を測定したところ、Kの最大値は未添加の場合の2倍以上の値になった。このことから、微量塩化物はすき間の内部に泳動濃縮することが分かった。